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映画『 抗い 記録作家・林えいだい 』が、アジアフォーカス福岡国際映画祭2016にて特別上映されます。当日は、林えいだいさんも来場予定です。ぜひ!

日時:9月16日(金)19:00~
会場:ぽんプラザホール(キャナルシティーのそば)


歴史の教訓に学ばない民族は、
結局は、自滅の道を歩むしかない。

福岡県筑豊の旧産炭地には、今もアリラン峠と呼ばれる場所がある。そこは、かつて日本に徴用された朝鮮人たちが炭鉱に向かう時に歩いた道である。しかし、その名は地図には載っていない。福岡県筑豊を拠点に、朝鮮人強制労働や公害問題、戦争の悲劇などの取材に取り組んできた記録作家・林えいだいがアリラン峠を歩く。林は筑豊に渦巻く様々な負の歴史、国のエネルギー政策に翻弄された名もなき人々を記録してきた。若い頃には北九州市教育委員会社会教育主事として地域の婦人会と公害問題に取り組み、告発運動に至る。37才の時に意を決して退職、フリーの記録作家となった。

 林が記録作家になった背景には、反戦思想を貫いた父親の存在がある。神主だった父親の寅治は、民族差別に耐えかねて炭鉱から脱走した朝鮮人鉱夫たちを自宅に匿った。「国賊」、「非国民」とされた父親は、警察の拷問が原因で命を落とした。その体験が林の取材活動の原点となっている。

いいたくない、いわない。
表面に出ない隠れた部分こそ、問題なのだ。

2014年8月9日、福岡市の雑木林を林が訪れる。69年前の同じ8月9日、そこで一人の特攻隊員が日本軍に銃殺された。国の命運をかけた重爆特攻機「さくら弾機」に放火したという罪が着せられていた。林はこの青年が朝鮮人であるが故に無実の罪を着せられたのではないかと疑念を抱き、真相に迫ろうと放火事件の目撃者のもとを訪ねる。徹底した取材の姿勢は、対象となる人物の重たかった口をも開き、決して忘れてはならない真実を浮き上がらせるのだった。

 現在の林は、私設図書館の「ありらん文庫」に愛犬の「武蔵」とともに暮らしている。朝鮮人強制労働、公害問題、特攻隊の実相など、徹底した取材による膨大な資料が積まれ、歴史に埋もれた事実をここで記録してきた。

 林が生まれ育った筑豊の炭鉱では、人々が懸命に生き、歴史を作った。女坑夫や石炭を荷積みする女沖仲仕など、明治から大正昭和にかけて日本の経済を支えた女性たちのことも生き生きと描いた。

 重い癌と闘う林の指は、抗がん剤の副作用でペンを持てないほどだ。それでもセロテープでペンを指に巻き付けながら懸命に記録を残す。権力に棄てられた民、忘れられた民の姿を記録していくことが自分の使命であると林は語る。

「歴史の教訓に学ばない民族は 結局は自滅の道を歩むしかない」  

林えいだい

 1933年12月4日、 福岡県香春町生まれ。早稲田大学文学部中退。アリラン文庫主宰。
読売教育賞(1967年)、朝日・明るい社会賞(1969)、青丘出版文化賞(1990年)、平和・協同ジャーナリスト基金賞(2007年)ほか受賞。

 大学を中退し帰省。炭鉱夫を経て香原町役場に勤務、町史の編纂にあたる。その後、北九州市教育委員会に勤め、社会教育主事として地域の婦人会と公害問題に取り組む。37歳にして意を決し退職。フリーの記録作家を志す。
 徹底した聞き取り調査により、朝鮮人強制連行・強制労働、差別問題、特攻隊の実相など、歴史的事実の闇を追求し続けた記録作家として、朝日新聞連載の「 ジャーナリズム列伝」(2011年6月~同年7月)でもその仕事が紹介された。

監督:西嶋真司

 1981年、RKB毎日放送入社。1991年から1994年までソウル特派員。現在は番組制作部門に所属し、「コタ・バル~伝えられなかった戦争」(2011)、「嗣治からの手紙~画家はなぜ戦争を描いたのか」(2014)など戦争を中心とするドキュメンタリー番組を制作。

出演:林えいだい他
朗読:田中泯
プロデューサー:川井田博幸 倉富清文  
協力プロデューサー:増永研一
撮影:青木周作 両角竜太郎 鶴田新子
照明:濱田嘉博 前裕子
編集:平山誠一
MA:寺岡章人
音楽:竹口美紀  
演奏:Viento
題字:松本直美 
美術:軸屋裕美子 坂本千治 大塚あや 
CG:脇田純子 森貴史 小西龍大郎
宣伝:福原まゆみ 西中誠一郎 進哲郎
制作協力:東田シネマ
映像提供:NPO法人沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会 オルタスジャパン 北九州市戸畑区婦人会協議会
制作配給:グループ現代
製作著作:RKB毎日放送

2016年/カラー/100分/ドキュメンタリー/日本語